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ケアの本質―生きることの意味/ミルトン・メイヤロフ

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こんにちは。岡本大輔です。
昼の紹介はこちらです。
※ 再編集・再更新記事です。
↓↓↓




















【出会い】
帯広図書館の本棚で出会いました。確か、以前出席した研修で紹介されていて、見た瞬間読もう! と思いました。

【本書紹介のねらい】
~本書抜粋より~
本書は、読者自身をケアの動態に巻き込んで展開する稀有な著作である、独自の仕方で本書に向かわれることを望みたい。

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士、看護師、などの専門職で働くあなた、今は働いていないけれど、これからそのような仕事をする予定のあなたにケアとは? をあなた自身の中で追求できる一冊です。


【気になった抜粋】
他者をケアする中で、あるがままの相手を見つめなければならないのであって、私がそうあって欲しいとか、そうあらねばならないと感じる気持で相手を見つめることではないのである。

ケアにおいては、他者が第一義的に大事なものである、すなわち、他者の成長こそケアする者の関心の中心なのである、相手に焦点が当てられたときにのみ、その成長の欲求に呼応することができるのである。

両親は、子供が自らをケアできるようになるまで子供をたすけるのであるが、だからといって、それで親子の関係を終わらせてしまうつもりではない、同様に私たちは友情についても、相手の成長を互いにたすけ合うような成熟した友情が、無限に続いてくれることを望むのである。

私は成長したいという私自身の心からの欲求をよく理解し、それにこたえることができてはじめて、相手に関しても、その成長したいという欲求や努力が理解できるのである。

自律は自己理解を前提とする、その理解がないと、結局、自分が自分の障害となってしまい、どうどうめぐりするしかないのである。

【響いた抜粋と学び】
著者のミルトン・メイヤロフさんは1960-70年代、ケア(ケアリング)について先駆的に理論的な成果を発表したアメリカの哲学者です。

一人の人格をケアするとは、最も深い意味で、その人が成長すること、自己実現することをたすけることである。


冒頭の言葉です。いきなり深いです。ケアを介護と考えると、目の前のお客様の入浴介助、食事介助、排泄介助、これらを通して、お客様自信が成長することや自己実現することをたすけることが僕たちの仕事なのです。
あなたはいかがでしたか? 10年前、介護業界で働き始めた僕にはまったくない考え方でした。自分の生活費を稼ぐために入浴介助で洗髪・背部洗身を手伝っていただけでした。
僕たちの仕事というのはそれらを通して、お客様の成長や入浴して清潔保持ができる、そのことで外出や他者との交流につながるなどの自己実現につなげていくことなのです。

私たちは、ケアには知識が必要でないとか、誰かをケアすることは、たとえば、単に好意や温かい関心を示すことだけであるかのように言うことがある、しかしケアするためには、私はその人の要求理解しなければならないし、それに適切に応答できなければならないし、しかもまた、好意があるだけではこのことが可能でないのは明らかである。

誤解を恐れず言えば、優しさとは知識である、と僕は断言します。電車に乗っていて歩行がおぼつかないおじいさんが乗ってきました。息を切らしています。そのときに席を譲る、という行動を知らないと優しさの実践ができません。知識がないと人に優しくできないのです。
※ もちろん、知識があってもその先の勇気がないと出来ないのも事実です。しかし、まずは知識です。

小さい子供にあなたは教えますよね? 困っている人がいたら助けるんだよ。おじいさん、おばあさんが電車やバスに乗ってきて席がなかったら譲るんだよ。そうなんです。知識がないと優しさは実践が出来ないのです。

忍耐はケアには重要な要素である、忍耐のおかげで、私は相手にとってよいときに、相手にそった方法で、相手を成長させることができるのである。

ケアする人は忍耐強い、なぜなら、相手の成長を信じているからである、しかし相手に忍耐を示すと同時に、自分自身に対しても忍耐せねばならない、相手および自分を知り、理解し、発見する機会を、自らに対してつくっていかねばならない。

相手を信頼することは、まかせることである、つまりそれは、ある危険な要素をはらんでいるが、未知への跳躍なのである、いずれも勇気のいることである。

子育てをするあなたには特に響く部分ではないでしょうか? 相手を信じる、相手の成長を見届けるには相手に失敗も成功も実践してもらわなければなりません。つまり、あなたはきっとこうなるだろう、とわかっていてもあえて、実践してもらわなきゃいけないことがあるのです。
小さい子供がようやく歩き始めた時に、転んだら危ないといって、歩かせないわけにはいきませんよね。捕まって歩くように教えますし、テーブルの角に頭をぶつけないように声をかけますね。歩かせますよね。

人は失敗に学びます。あなたはやらなくてもわかるでしょ! と思うことも忍耐しなければなりません。

子育てに限らず、上司・部下の関係に置いても「忍耐」がキーワードになるのではないでしょうか?

ケアするには、ときに特別な資質あるいは特殊な訓練を必要とする、一般的なケアができるということのほかに、ある特定の対象に対してもケアできなければならない、精神病患者に対するケアでは、特殊な訓練以外に、人間関係についてのなまはんかでない感受性が要求される。

ここは僕にとって疑問が残る部分でした。例えば、認知症の診断を受けた人、統合失調症などの診断を受けた人を指すのでしょうが、特殊な資質、あるいは訓練……? 目の前の人をありのまま見る、関わる、感受性豊かになる、ということ事態に特殊な資質・訓練が必要なだけであり、認知症であったり、精神病の人へのケアに特別な資質や訓練が必要なわけではない、と捉えました。目の前の相手が病気があろうとなかろうと、健康であろうと、それは変わらない。
人をとらえるときには感受性豊かになることが必要だと、思います。

ケアする人は相手に自分自身をゆだねている、つまり依存される存在として自分自身を差し出している。

ケアにおいては、相手とともにいるということは、とりもなおさず相手のためにいるということでもある、成長しようとし、自らを確立しようと努力している相手、その人のために私はいるのである。

私が実際に私自身をケアするうえで、私はいったい誰であるか、何のために努力をしているのか、私が必要としているものはそもそも何なのか、その必要を満足させるには何が要求されているのか、ということの理解がなければならない。

より 包括的な理解がなければならない、すなわちこれは、私が何に身をゆだねるべきなのか、自分に対して何が要求されているのか、何が自分を補って完全なものにしてくれる対象なのか。


うーむ。頭をひねらされます。相手に自分自身をゆだねる。依存される存在として差し出す。言葉だけ読むと「?」かもしれません。人は何かに依存をします。「人」という漢字を見れば分かります。二つの棒があることで立っていられますね。人は依存し合うのです。人に依存できない人はどうなるのか? タバコやお酒、コーヒー、スナック菓子、ジュース、砂糖、果ては麻薬に依存するようになるのではないでしょうか?

人は自分の場を発見することによって自分自身を発見する、その人のケアを必要とし、その人がケアする必要があるような補充関係にある対象を発見することによって、その人は自分の場というものを発見する。

場の発見。あなたは何者ですか? こう質問された時、あなたはどう答えるでしょうか? きっと「〇〇会社の△△部門に所属する☆☆です」というように答えるのではないでしょうか? 自分のいる場所、自分の居場所、所属場所があることで自分は何者なのかを表現する、つまり、自分を発見する、ということではないでしょうか。
だからこそ、仕事をしなくなった人が認知症になり、過去の自分に戻る、というのは自分を発見すること、再発見しているのではないでしょうか?


【福祉関係の書評(まずはお試し)】
ひとりも殺させない: それでも生活保護を否定しますか/藤田孝典
新・私が決める尊厳死「不治かつ末期」の具体的提案/中日新聞社
日本に殺されず幸せに生きる方法/谷本真由美 (介護問題に言及しています)
ケースワークの原則―援助関係を形成する技法/フェリックス・P.バイステック
人間の発見と形成/リッチモンド


【関連書籍(即購入の方におすすめ)】
ひとりも殺させない: それでも生活保護を否定しますか [単行本]
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日本に殺されず幸せに生きる方法 [単行本(ソフトカバー)]
ケースワークの原則―援助関係を形成する技法 [単行本]
人間の発見と形成―ソーシァル・ケースワークとはなにか (1963年) [-]


【自分の場を見つける、と言えば!】
人を動かす 新装版 [単行本]

※ 介護でもビジネスでも共通するのは「自己の重要感を満たす」ことです。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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