こんにちは。岡本大輔です。
昼の紹介はこちらです。
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講談社
発売日 : 2001-04
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【出会い】
幕別町図書館札内分館で出会いました。介護業界で働いているのでとても興味深いタイトルです。
【本書紹介のねらい】
介護保険法について……法施行から13年経った今、改めて介護について考えてみよう。
【気になった抜粋】
「要支援」と「要介護1」を分ける大きな違いは、施設を利用できるか否かという残酷な違いだった、つまり「自立」と「要支援」は、デイサービスもショートステイも利用できなくなり、保険料だけ取られるハメになってしまったらしい。
【響いた抜粋と学び】
本書出版は2001年。そうです。介護保険法施行が2000年ですから、法が整備されて実際どうなのか、というのを利用者家族の視点で話してくれます。
著者の門野晴子さんはノンフィクション作家で自分の母の介護経験から介護保険に物申す書籍です。
12年前の書籍ですから、介護保険法も当時とはだいぶ変わっていて、たとえば当初は要支援と要介護1~5までだった括りが要支援1・2と要介護1~5という括りに変わっています。
そして、今後、要支援判定がなくなる、という話にもなっています。
そうなると、いかに現在、要支援でありながら、介護サービスが必要な人に対して、要介護認定をつけてもらえるかが鍵になりそうです。
認定調査は地域ごとに若干変わりますが、帯広市で言えば自分が担当する利用者以外の、おそらく初めてお会いする人の調査を行います。
初対面の人に、身体の状態を確認し、認知面の状態を確認する必要があります。認知面の状態については本人は
「大丈夫」
と話す方が多く、実際、認知症状の深い方で鍋を焦がすことがしょっちゅうあっても、同席者がいなかったために要支援判定を受けた方もいます。
認定調査に精通したケアマネを選ぶことが今後のカギとなりそうです。
※ ケアマネ経験だけあっても、調査のことをあまり知らない人がいるので注意が必要です。
認定調査……なにが「利用者本位」だ、ベラボーメ、年寄りに尊厳をかなぐり捨てさせて懇願させ、だからといって決定権などないケアマネジャーがコンピューターにインプットするための、非情な調査=テストを病人に試すだけである。
この書籍を読むと生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント/西原理恵子 を思い出します。
2000年、介護保険法施行当時僕は大学入学したばっかりで介護保険法ってなに? という若者でした。
※ 介護福祉学科に入学したにも関わらず。
認定調査っていうのは学校時代の通信簿、社会人になっての人事考課制度、これらの延長と僕は感じますね。
人が人を評価する、それが認定調査であり、認定審査会。僕はその両方を行なっているので、なるほどな、と思っています。
こんな質問でどこまでわかるのか? なんて思うこともありますが、何も調査せずに集めた税金を使っていくことの方が危険ですよね。
家族がいてもいなくても、家族にどんな事情があろうとも、家族のことはいっさい考慮しない、と介護保険が気取っているのだ。
これはその当時そうかもしれませんが、現在では家族の介護負担が増大しているということを調査票や主治医意見書に書かれていると、審査会で考慮される場合があります。
25-32分の枠、32-50の枠など介護保険法上で要支援1、要支援2、要介護1など介護の手間の時間枠が決まっています。ギリギリのところになっている場合、それらの意見が反映されることがあります。
しかし、家族の介護が大変、とだけ書いてあっても反映は難しいです。
例えば前頭側頭葉型の認知症で以前は暴力行為や反社会的行動があり、介護サービスを利用することで落ち着いて生活できるようになった。家族の言うことはなかなかきかないため介護負担が大きい、など書いてあると、状態が改善されていたとしても、それは介護サービス利用のために維持できていると判断され、介護度が大きく改善されることは少ないと思います。
「居宅サービス計画作成依頼は無料ですよ」、無料ではない、どうでもいい書類に使う税金の一部は私のカネだ。
そうです。税金から支払われています。ちなみに生活保護の方に介護サービスをすすめるときも同様に「手出しはありません」
と話すことがありますが、それは半分本当で半分嘘です。本人の手出しはないかもしれませんが、市町村から支払われています。つまり税金から支払われています。
※ デイの食費に関しては介護保険の適用外なので手出しありです。
「介護保険は日曜祝日の割増料金を認めないので、誰も行きたがらないんですよ」、ヘルパーは主婦がほとんどのため、日曜や年末年始は休みたいというのは当然ながら、割増料金があれば休日も働いていいと言う人がいるのも事実だ。
これはたしかにね。以前の職場で
「なんで休日出勤手当がでないの?」
という方がいましたが、介護保険法上で休日出勤に関しての特別手当が出ないのに、会社側でお金を支払ってしまったら、おそらく会社は潰れます。
ヘルパーサービスを減らすことについて……「年寄りの理解力のなさを利用して、ケアマネジャーの判断で減らしているのよ。だって介護保険てなんのことだかわからなくて困っている人が多いんだもの。ケアマネの言いなりになるしかないわよね」、使わなくてもやっていけるんだ、それみろという問題ではない、いままで必要だったサービスを我慢し、不自由に耐えるのである、その結果、症状が悪化して医療のコスト高になるだけなのは目に見えている。
ひとり暮らしの年寄りとケアマネジャーの力関係は明白、年寄りはなんにも言えないって、言ってヘルパーがこなくなったらどうしよう、意地悪されたらどうしようと思っていいなりですよ、その力関係を関係者すべてが認識しないから、目の不自由な人や痴呆の人に「自立」などと犯罪的な判断を下すことになる。
今はこんなケアマネジャーはいないとは思いますが……。
いつの時代もそう。大東亜戦争でも、ミッドウェー海戦では情報力でアメリカが勝っていたとあります。
ケアマネのほうが法についての情報を多く持っています。当然、力関係ということを考えればやはりケアマネを含めた介護サービス提供側が強いんでしょうね。
利用者にほんとうに選択権を保証するなら、介護保険に入らないことも、家族介護をしないことも含めて、多様な選択肢のなかからチョイスできることを「選べる」と言うのである。
そうかな? う~む。これはそうですよね、とは思えないなぁ。言っていることは意味がわかるし、理屈はそうなんだろうけど、感情面でなぜか肯定できないなぁ。
介護保険でトクしている人っているの? ……「オイシイ思いをしているのはニチイ学館だと思う。ヘルパー派遣の本業は採算が取れなくて縮小するかもしれないそうだけど、二級ヘルパー講習ではすごいですよね。北海道から沖縄までひとり八万円ちょっと取って講習会を開いているの、いい商売。でも、それで資格を取ったからってヘルパーは勤まりませんよ」。
日本最高の資格ビジネスはヘルパー二級なのかもしれませんね。介護現場で働く僕が言います。
ヘルパー二級は飾りです。
ガンダムのあの兵士の言葉を思い出します。
「あんなの飾りです。えらい人にはそれがわからんのです!!」
僕のように家事が全然出来ない人間でもお金を払えばきっとヘルパー二級は取得できるでしょう。でも実際にヘルパーとして派遣されたら、僕は料理できないと思います。
取得して、働き始めてから学びが始まる、と思ってくれたほうがいいでしょうね。
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