おはようございます。岡本大輔です。
本日の紹介はこちらです。
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新潮社
発売日 : 1988-09
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【出会い】
帯広図書館のスポーツコーナーで出会いました。
【本書紹介のねらい】
~本書抜粋より~
今にして思う、もし僕が、投手として人間として自分を信じることができなかったら、この9年間の野球生活を乗り切ることはできなかったと、この本の題名には、そんな僕の思いがこもっている。
「空白の一日」など、江川卓のプロ野球人生について。生き方について。
【響いた抜粋と学び】
著者の江川さんはみなさんご存知のように元プロ野球選手で現在は野球解説者、タレントです。巨人の監督候補につねに選ばれていますが、なかなか実現しません、
僕が学生時代にうるぐすを見ていたときには理論派で頭がいいなぁ、という印象がありました。そのときにはどちらかというと人間味よりかは理屈が先行するのかな、と思っていましたが、本書を読んでその印象は変わりました。
「いいか、卓。この佐久間では、太陽は9時に昇り3時に沈む。でもな、世の中には水平線から陽が昇って水平線に沈むところもあるんだ。いつまでも狭い範囲に閉じこもっていては、人間、大きくならない。関東平野は大きいぞ。俺といっしょに行こう」。
ここは中学時代の転校のことについてです。絶対的権力者であった父親の意見です。父親の転勤により、通いなれた中学校を離れることになりました。
最初は嫌だったのですが、父の説得によりあえなく(?)転校したようです。しかし、この転校が人生を変えたようです。
抜粋した父の言葉もドラマティックじゃないですか。
「江川を合格にすれば、六大学での彼の活躍を見込んだ裏口入学と騒がれてしまう危険性が大きい。落とせば”さすが慶応”と認められる。そういう大学側の思惑がからんでいた」。
早慶戦を夢見た江川さんは結局、早慶のどちらも縁がなかったのです。あまりに有名になりすぎた江川さんが入学するには目立ちすぎました。有名になりすぎると、大学進学も大変だぁ。
結局、江川獲得を断念したクラウンの球団の赤字は解消されず、翌53年西武に身売りすることになる、もし江川が入団していれば……、球団経営は正常化し、身売りは避けられたかもしれない、となると、現在の西武ライオンズはなかったかもしれない、その西武が巨人にとってかわる常勝軍団に成長していることを見れば、ここでも”球界の歴史を変えた”江川の存在が浮かびあがるのである。
本書が始まるところでは、あの「空白の一日」について書かれています。当時の野球協約をしっかり読むと、たった一日だけ自由に契約できる日があったわけです。
アメリカだったらこれは認められたのかもしれませんが、こちらは日本です。
「ずるい!」
という世論には敵わなかったようですね。
「空白の一日」によって西武ライオンズが誕生し、その後の常勝軍団を築いたわけです。江川さんの入団いかんによって、歴史が動いたのですね。
食事のときだって「もっと上手に食べろ」などと、ちょっとおこりすぎたかなと思うくらい厳しくしつけたし、子供が人に責任をなすりつけるようなことを言ったときには、是も非もなくしかりつけた、それもこれも、「あの江川の子が……」といった負い目を、子供たちにおわせたくないと願ったからだった。
「空白の一日」によって、一躍悪者のイメージを付けられた江川さん。それは江川さん自身だけでなく家族をも巻き込みました。
江川さん自身はそのダーティーなイメージを払拭しようと、言葉遣いなどとにかく徹底しました。そして、子供にも同様です。
「あの江川の子供か……」
と見られてしまいます。他の子供と同じことをやっても、江川さんの子供がやったとなれば、違うイメージをもたれてしまう、だからこそ、子供には暴力をふるわないように徹底させたと書いていました。
走者が二塁にいようと三塁にいようと、打者を三振に仕留めてケリをつける、相手がストレートを待っているとわかっていて、それでもストレートを投げて、空振りさせる、僕の頭の中にいる江川卓は、そういう投手なのだ、それができずにいるフラストレーションが、心の中にたまっていた。
江川さん自身は、実は大学性の時には肩を壊していたようです。昔のプロ野球もそうですが、すごいピッチャーがいると、その投手に頼りっぱなしになります。
昔は野球が下手な奴がプロ野球に入れる、なんて言葉があったようです。
※ うまい選手は子供の頃に酷使されてしまい、肩や肘などが壊れてプロには入れなかったのです。
最終的に、江川さんの引退を考えたのは、江川さん自身が考える投手像と離れてしまったから、自分のピッチングができなくなったから、なんですね。
本書は江川さんの当時の想いが赤裸々に書いてあるので、ニヤニヤしながら読めてしまいますよ。
※ 「空白の一日」後の自宅に張り付いていた記者とのやりとりなんて笑ってしまいますよ。
【編集後記】
本日は勤労感謝の日です。この日が本来はなんの日かご存知ですか? そうです。新嘗祭です。今年一年の収穫に感謝し、今年とれた新米を初めていただくのです。大自然に感謝する一日です。
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発売日 : 1988-09
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