Quantcast
Viewing all articles
Browse latest Browse all 957

戦場の都市伝説/石井光太

こんにちは。岡本大輔です。
昼の紹介はこちらです。
↓↓↓

Image may be NSFW.
Clik here to view.
著者 : 石井光太
幻冬舎
発売日 : 2012-09-28









【出会い】
帯広図書館の新刊コーナーで出会いました。
※ 読み終えたのは半年以上前になります。


◎ 本来は昨日の11:30更新予定でしたが、セットし忘れていたので、本日更新です。翌日には日付を変更しておきます。【本書紹介のねらい】
戦争の悲惨さを改めて考えてみましょう。

【気になった抜粋】
東南アジアには赤いバナナが実際に存在するが、こちらは黄色いバナナより一回り大きく、ねっとりして食べ応えがあって甘い。

兵士にとって、死を覚悟で突進してくる敵ほど嫌な相手はない、自分は殺したくないのに敵は己の命と引き換えに自分を殺そうとしてくる、それがどれほど恐ろしいことか、だが、そうした恐怖を敵に植えつけられることこそが、自爆攻撃の最大の意味なのだ。

第二次世界大戦中の日本軍は、若い兵士たちを逃げ場のない状況に追いつめて特攻へと出動させた、出撃を前にしてうち震える若い兵士に、ヒロポン、つまり覚醒剤を与えて奮い立たせ、体当たり攻撃をさせたのである、パレスチナの自爆テロ犯もまた悲しい、自爆テロの実行犯はテロ組織の幹部たちではない、貧しくて将来がまったく見えない若者だったり、イスラエルの攻撃を受けて夫や両親を殺された傷心の者たちだったりする。

税関が調べるのはカバンの中身ぐらいで、遺体にはほとんど注意を払わない、その盲点をつくように、麻薬組織はアメリカ人の遺体に麻薬を詰め込み、アメリカへ運び込んでいたのだ。

パレスチナ紛争では、戦死した一般庶民の体に地雷や爆弾がしかけられた、戦闘中に人間が死ねば、後日庶民や兵士がそれを運ばなければならない、そこに爆弾を設置することで、他の人間をも殺害しようとするのだ、そのため、地域によっては死体が転がっていても誰もそれを片づけようとさえせず、腐って虫に食われるのを待つしかなかった。

中東でイスラーム教徒に「あなたは幽霊の存在を信じますか」と尋ねても、ほぼ全員が首を横にふってこう答えるだろう、「神はアッラーのみで、幽霊は存在しない。いたらアッラーは唯一絶対の神じゃなくなってしまう」と、強がってこう答えているわけではない、たとえば、中東の墓地へ行くと、ホームレスたちのねぐらになっていることがよくある、それは彼らが幽霊を信じないためだ。

ゲリラ組織は村を襲ってそこに暮らしている子供たちを強制的に連行し、彼らに自分の親や村人の処刑を強いることで、帰る場所を奪い取り、人を殺したという罪の意識を植え、ゲリラ兵として生きるしかないというところに追いつめ、一人前の子供兵にするのだ。

江戸時代、フカヒレは中国との貿易で重宝され、ナマコ、アワビと同じく「俵物三品」と呼ばれていた、幕府は金、銀、銅の代わりに、これらを積極的に代用し、以降気仙沼市の主要な海産資源となっている。

現在の南米やアフリカでの内戦は、国家と国家との戦いではなく、ゲリラ組織の戦いであるため、国際法はほとんど無視されている、兵士たちはそもそも国際法の存在すら知らず、一般庶民に対するレイプや強奪はもちろんのこと、軍事訓練のための捕虜の処刑も当たり前のこととしてまかり通っているのだ。

「残留日本兵たちは間違いなく神がかっていた。銃弾が飛び交う中へ行っても決して弾に当たらないんだからな。地元の人間がどうやったら弾に当たらずに済むのかと尋ねたところ、『日本の伝統的な魔法を駆使しているのだ』と答えたらしい。インドネシアは独立したけれど、最後までその魔法の方法だけは教えてもらえなかった」。

進駐軍はしばらくして石井四郎を裁判にかけずに釈放した、裏では、米軍と石井四郎の間に取引があったといわれている、生体実験の成果は滅多に手に入らない貴重な資料であり、研究者にとっては喉から手が出るほどほしいものだ、そこでアメリカは石井四郎から生体実験の成果をすべて受け取る代わりに、彼を裁判にかけることを止めたらしい、そうして、七三一部隊の前代未聞の戦争犯罪は裁判で追及されることすらなく闇に葬られたのである。


【響いた抜粋と学び】
その夜、漁師たちは信じられない光景を目の当たりにした、見張っていたところ、首都カンパラの方向から軍の巨大なトラックが何台も走ってきた、そして湖のほとりで止まると、軍人たちが荷台を開けた、そこには人間の死体をがぎっしりと詰められていた、軍の処刑によって殺された民間人だった、軍人たちは死体をトラックから降ろし、次々と湖に投げ捨てていく、湖にいた魚たちは一斉にその肉を食いはじめた。

「魚は東京湾に流れた死体を食い漁った。きっとそれがもとで大きくなったり、異常繁殖したりしたのだ」。


これ読んだときに僕がパッと思いついたのは東日本大震災です。あのときも多くの人が津波に流されてしまいました。あの年の魚はどうだったんだろう……肥えていたのだろうか? 魚を食べるのが怖くなる。

1989年、ルーマニア革命軍が蜂起して政府を倒してチャウシェスクを大統領の座から引きずりおろした、逮捕の二日後には学校の校舎で開かれた裁判によって死刑判決を下し、その日のうちに銃殺刑を行った、ルーマニア革命軍はこの一連の流れをすべてビデオカメラに収めて、遺体の顔写真を含めた映像を世界に配信したのである、こうすることによって、チャウシェスクの死後も生存説が生まれ、国民が不安に陥らないようにしたのだ(ここまでしても、一部では処刑映像がつくり物ではないかという疑惑が浮上した)。

過激ですよね。戦争から遡って……源義経や織田信長の生存説があり、時代を超越していました。得体のしれない恐怖から庶民を守るためとはいえ、処刑を一般公開するとは……。日本では公開できそうにないですね。

第二次世界大戦では、連合軍はナチスの思想を徹底的に消し去るために、幹部たちの墓をつくらせなかった、墓がナチス支持派たちの聖地となるうことを恐れたのだ。

日本でも、東京裁判後に死刑執行された人たちの扱いはこれと似ています。戦勝国の一方的な鉄槌を喰らい、刑に処された人たちがどこの墓にあるのか、なぜ東京裁判は起きたのか、そもそも東京裁判ってなに? というのが現代ではないでしょうか。
歴史を抹消され、都合良く塗り替えられているのです。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

コメントは自由制です。一見さんも読者も大歓迎です。
返信は24時間以内にいたします。
※心無い非難・誹謗・中傷等は削除させていただきます。





Image may be NSFW.
Clik here to view.
著者 : 石井光太
幻冬舎
発売日 : 2012-09-28

Viewing all articles
Browse latest Browse all 957

Trending Articles